顎関節症
顎関節症について
顎関節症とは、左右にそれぞれ存在する顎関節や関連する咀嚼筋に異常が生じる状態を指します。
特に女性に多く見られる傾向があります。日常生活の中で無意識に頬杖をついたり猫背になったりする習慣が身についてしまうと、顎関節症の発症リスクが高まることがあります。
顎関節症の症状
1.顎を動かす筋(咀嚼筋)の障害
過度な顎の運動、例えば歯軋りやくいしばり、または硬い食べ物の好みによって、顎の筋肉が虚血状態(血流が悪くなる状態)になり、慢性的な筋疲労が生じる。その結果、痛みが生じる可能性がある。
2.顎関節の関節包・靱帯の障害
顎関節の靭帯や関節包に過度な力が加わり顎関節の捻挫を起こし、顎を動かすときのいたみを生じる。
3.顎関節のクッションの役割をしている関節円板の障害
顎関節の運動におけるクッションの役割をしている関節円板が前方にずれることにより口の開け閉めのときに関節雑音(関節音*1)や口が開かなくなる(急性ロック*2)また、口を開けると痛む(関節痛)、など多岐にわたります。
*1.関節音には、シャリシャリやゴリゴリという捻発音(crepitus)と、カクンという弾撥音(clicking)とがある。ともに関節の軟骨の擦れる音です。
*2.急性開口障害は早期治療がのぞましいです。
4.顎関節軟骨および骨の変形
関節円板に障害がある経過の長い顎関節症、あるいは加齢変化などにより顎関節の軟骨や骨組織に変形が生じる。
ただし加齢変化による関節の変形ではなにも症状がないことがあります。
これらの病態が単一、あるいは重なっていろいろな症状がおきます。
顎関節症の原因
顎関節症は、嚙み合わせが悪いことが原因で発症しやすいとされていますが、それ以外にも日常生活の習慣や癖、そしてストレスも影響を及ぼすとされています。
例えば、歯ぎしりや食いしばり、頬杖のつき方、猫背、片側で噛む癖などが挙げられます。
当院では、いくつかの治療方法を提案しておりますが、ご自身でも心当たりがあるような癖がある方は、一度それらを見直してみることも良いかもしれません。日常生活の中で注意深く習慣を見つめることで、顎関節症の改善に繋がるかもしれません。
顎関節症の治療
問診、触診、画像精査など行い、症状と病態により治療法を選択していきます。
1、スプリント療法:マウスピースを用いて顎関節組織および周囲筋肉の安定・回復を行う治療法
2、理学療法:筋マッサージや顎の可動練習
3、ボツリヌス注射療法+顎の可動運動療法
顎の関節に注射を行い関節の可動拡大・疼痛等の緩和を目的に行います。
4、薬物療法
5、対処療法
外傷性などで打撲と診断される場合などこれらの治療法より病態にあった治療法を選択していきます。
たとえば、急性の開口障害の場合などロックを解除するために理学療法および関節腔洗浄療法などを行います。
筋痛および関節痛、慢性症状の場合には、マウスピースによる顎および筋肉の誘導や緩和によって加療します。
急性の場合には、早期治療が大事です。
急に口が開かなくなったなどの症状がある場合にはご相談ください。
顎関節症の予防
朝起きた際に顎が痛いまたは口が開けづらい方は、寝ている間に歯ぎしりや食いしばりをしている可能性が考えられます。
その他にも、知らず知らずのうちに重い物を持ったり、パソコンを操作する際などに歯を食いしばっていることがあります。そのため、日常生活における癖や習慣を見直すことをお勧めします。
よくある質問
- 顎関節症の予防はありますか?
- 歯ぎしりや食いしばり、頬杖などの癖は関節に負担をかける可能性があるため、常にリラックスした状態を心がけることが重要です。また、顎関節症はストレスとも関連していると言われていますので、ストレスを軽減させるためにも適切な方法で発散させたり、十分な睡眠を確保し、リラックスする時間を持つことも大切です。
- 顎関節症は珍しい病気ですか?
- 2~3人に一人の割合でなっていますので珍しくはありません。
- 何歳ごろから顎関節症になりますか?
- 早い方では小学生くらいから症状がでる人がいます。一般的に中学生くらいからの方が多いです。
- 顎が痛くて口が開けられないのですが顎関節症の症状ですか?
- 顎関節症の疑いが高いです。口を開けた際に痛みが生じるケースもあります。一度当院へご相談ください。
- 顎関節症と診断されマウスピースをしていましたが、マウスピースを装着すると違和感で眠れないのですが他の治療法はありますか?
- 当院の顎関節症用マウスピースは、患者様の快適さを最優先に考え、薄い素材を使用して製作しています。しかし、どうしても合わないという方には、顎の負担を軽減し、顎の痛みを和らげる効果のある注射を行っています。実際に、他の医院で作成されたマウスピースが合わなかった患者様が、当院のマウスピースを装着した際に違和感なく使用している方もいらっしゃいます。